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(写真:産経ニュース

【日本人が知らない日本】
米国人の大好物オイスター「クッシ(屈指)」、一口サイズの熊本産カキが手本
2013.2.10 07:00

 「美食不毛の地」などと陰口をたたかれることも多い米国だが、なかなかどうして、「ウーン」とうならされる食材も少なくない。中でも一押しは、北米産の生ガキ。米国人の大好物でもある。

 ワシントン支局からホワイトハウスまで徒歩10分の道のりの真ん中で、抜群の生ガキを提供する「オールド・エビット・グリル」。政府高官も多く立ち寄る名店のメニューには、他の種類とは音感が異なるカキが…
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【Info.】
産経ニュース|ワシントン 犬塚陽介
【Ver.】
改訂|2013-09-26|公開|2013-02-11


[保存用]
 「美食不毛の地」などと陰口をたたかれることも多い米国だが、なかなかどうして、「ウーン」とうならされる食材も少なくない。中でも一押しは、北米産の生ガキ。米国人の大好物でもある。

 ワシントン支局からホワイトハウスまで徒歩10分の道のりの真ん中で、抜群の生ガキを提供する「オールド・エビット・グリル」。政府高官も多く立ち寄る名店のメニューには、他の種類とは音感が異なるカキがある。その名も「Kusshi(クッシ)」。

 漢字で書けば「屈指」となる。“指折りの美味しさ”という意味を込めて付けられたのだろう。日本語の名前を持つこのカキは、食べやすくて美味、そして良質な日本産カキを目指し、カナダ人が養殖に成功した「メード・イン・ジャパン」の伝統を受け継ぐカキなのだという。

 米メディアによると、米国では1940年代、西海岸原産の小型カキ「オリンピア」が乱獲や水質汚染で危機的に減少した。そこで代替品として、古くは明治時代から一部を輸入していたという良質で値段も安い日本産カキが浮上。米国政府は終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)に産地と種類の選定を急ぐよう命じたという。

 日本でカキの産地として有名なのは、広島県や宮城県。だが、日本オイスター協会を創設した佐藤言也理事(36)は、戦争直後の混乱で両県ともに「カキの大量輸出はままならず、広島県では原爆の影響も懸念され、選定は困難になった」と解説する。

 そこで白羽の矢が立ったのが、八代海などで真ガキや地元産で小ぶりのシカメガキが捕れる熊本県。当時の日本でカキといえば、圧倒的に真ガキだが、米国では一口サイズで食べやすいカキが好まれる。米国の生産者は「たまたま混ざっていた(小ぶりの)シカメガキに目を付けた」(佐藤理事)。

 1947年ごろから、カキの輸出が本格的。熊本県で実地調査した佐藤理事によると、戦勝国だった米国は、熊本産カキを「当時の日本の物価では考えられないような高額」で買い付け、熊本県ではちょっとした「カキ特需」が起きたという。

 「クマモト」のブランド名を確立したシカメガキは「ウエスタン・ジェム(西方の宝石)」と称され、米国でも養殖が試された。だが、米メディアによると、「クマモト」は成長までに3年がかかり、寒さにも強くないことから、安定的に商業ベースには乗せられなかったという。

 一方、熊本県でも、そもそも養殖の経験がなく、真ガキに比べて生命力も弱いシカメガキは減少。高価になると、米国側も輸入に二の足を踏むようになり、出荷は約10年で終了した。

 それでも、米国の飽くなき「フロンティア精神」は止まることを知らない。佐藤理事によると、米国やカナダの生産者は「クマモト」の養殖が駄目なら、生命力の強い真ガキを小型化して「クマモト」に近づけようと奮闘。長年の紆余曲折を経て、カナダの「クッシ」と米国の「シゴク(至極)」という「クマモトへの憧れが生んだ姉妹オイスター」(佐藤理事)に結実した。

 いまでは生産も安定しており、がオールド・エビット・グリルでも「クッシ」が生ガキのメニューから外れることもほとんどない。常連客の評判も「丸みを帯びた形は、まるで真珠のようだ。味も甘くてクリーミー」と上々だ。

 米国では「クマモト」を教科書に真ガキの小型化が実現したが、本家本元の熊本県では、シカメガキの養殖に取り組んでいる。希少なシカメガキは、日本のオイスターバーでも最高級ブランドの一つという。

 日本オイスター協会は「カキに詳しくなることが、安全でおいしく、楽しく食べる一番の近道」と指摘。ホームページではクイズ形式のオンライン検定「Jr.オイスターマイスター」を用意するなど普及に努めている。

http://oysters.jp/pc.php

(ワシントン 犬塚陽介)