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ナウシカの海がカキを殺す。
~ The Acid Sea - 酸性化する海、そのとき牡蠣は… ~

宮崎駿監督の有名な映画「ナウシカ」は皆さんご存知だと思う。あの映画の中で、酸化した海が入るものを溶かしてしまっていたシーンを憶えているだろうか。

産業革命以降、世界中の海の酸性化がどんどん進んでいるというのだ。原因は、石油や石炭を燃やすことによって発生した大気中の二酸化炭素だという。

よくアマゾンや森林が二酸化炭素を吸収してくれるというが、この地球で一番二酸化炭素を吸収してくれているのは海なのだそうだ。

そして海にいる生物が、二酸化炭素をカルシウムとを結合し、炭酸カルシウムとして固形化する。貝の殻やサンゴ礁がそれだ。

すでに十分な二酸化炭素があり、飽和状態になっていたのだが、近年、この限界を超える二酸化炭素を吸収してしまい酸性の海になる。これが海洋酸性化と呼ばれる現象だ。

二酸化炭素が飽和状態を超えると、高濃度の酸となり、炭酸カルシウムを形成するのとは逆に、その炭酸カルシウムを溶かしてしまうのである。

つまりは、貝の殻やサンゴ礁を海の水が溶かしてしまうということ。特にまだ殻の薄い牡蠣の赤ちゃんなどが、この犠牲になっているというのである。近年、牡蠣の赤ちゃんが斃死することが増えてきていた。

これはウィルスの仕業だといわれていたが、さらにアメリカの専門機関が調査を進めたところ、どうやら、この海洋酸性化も原因のひとつだとわかってきたというのだ。

日本近海も気象庁が観測船をだしたところ、海洋酸性化を確認、現在調査と続けているとのこと。この海洋酸性化に対して有効な対策はまだないという。

しいていうなら、排出する二酸化炭素の量を減らすしかないそうである。いつかナウシカの海になってしまうのだろうか。

じゃ、どうすりゃいいんだよ?

車乗るな、電気使うな、暖房使うな…なんてできる?

…たしかに…

出来ることと言えば「おいしい牡蠣が食べたければ二酸化炭素を減らそう!」と呼びかけることくらい。微力とはいえ、美味しいものを食べたいという欲求は、大きなモチベーションに成りえるのではないか。

たとえ気持ちだけ、意識だけでも、それでもなにもしないよりは何かが変わることを信じている。

最後に以下の取り組みを紹介しておきたい。

かきおいしい は うみおいしい
http://OySea.com

KakiOySeal(かきオイシール)というシールにより、まずは意識することから。おいしい牡蠣を食べたければ環境を護ろう!改善しよう!という意識を高めようというもの。

ちなみに、カキを養殖することで、海の汚染や酸性化を改善したり、防ぐこともできる。なので、是非、ひとつでも多くのカキを食べてもらえたら。

おいしいし、健康にもいいですしね。

う~ん、カキはいいことづくめ!

参考文献およびサイト:
・気象庁|海洋酸性化の知識
http://www.data.kishou.go.jp/db/mar_env/knowledge/oa/acidification.html
・地球環境センター|海洋酸性化の影響
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/6/6-1/qa_6-1-j.html
・Santa Barbara Independent |Ocean Acidification Eats Oysters
http://www.independent.com/news/2013/mar/13/ocean-acidification-eats-oysters
・NHKオンライン|広がる海洋酸性化の脅威
http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2012/12/1207.html
・AFP BB NEWS|海の酸性化で「海の蝶」の殻が溶解、南極海調査
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2913328/9901115
・東京大学海洋アライアンス|大気中の二酸化炭素と海洋酸性化-現代と過去の比較より-
http://www.oa.u-tokyo.ac.jp/rashimban/mamoru/001/post-40.php
・National Geographic|シリーズ 70億人の地球 酸性化する海
http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/1104/feature02/01.shtml


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