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助け合いながら海底にササ竹を突き刺す漁業者=佐賀県沖の有明海|佐賀新聞

 有明海の再生をめざしノリ漁師らが魚介類が住みやすい環境づくりに取り組んでいます。 「海の森」と呼ばれるその試みとは。ある日の昼下がり、佐賀市の佐嘉漁港から南西へ15キロほどの場所にあるノリの漁場へと10隻の漁船が出港しました。

 船には、ノリの養殖には似つかわしくないあるものが大量に。ササです。漁場には次々とノリ漁船が集まり組合員が50人がかりで長さ4メートルほどのササを海底に突き刺していきます。その数なんと7000本。その目的は・・・
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出典情報:
佐賀新聞
佐賀テレビ|SAGA TV


編集長コメント:
このササにしろ、アマモにしろ、海の生き物たちの依り代が必要。すべては文中にもあるこの2つのセリフに尽きる、感謝

「自分たちが金もうけできるより、そこをなりわいとしている人たちからいいといわれることが喜び」

「一番は後継者が育つような海になってもらいたい。漁業者はいいと思ってもらえる海になれば。それが最終目的」

2019-07-10 有明海の再生をめざしノリ漁師らが魚介類が住みやすい環境づくりに取り組んでいます。 「海の森」と呼ばれるその試みとは。 ある日の昼下がり、佐賀市の佐嘉漁港から南西へ15キロほどの場所にあるノリの漁場へと10隻の漁船が出港しました。 船には、ノリの養殖には似つかわしくないあるものが大量に。ササです。 漁場には次々とノリ漁船が集まり組合員が50人がかりで長さ4メートルほどのササを海底に突き刺していきます。 その数なんと7000本。 その目的は… 記者: 「この笹を海底に突き刺すことで魚介類が住みやすい環境を作っていくということです」 県有明海漁協が4年前から取り組むのは有明海再生事業「海の森」。 海底に突き刺さったササが有明海の環境の改善に一役買っているんです。 県有明海漁協佐賀市支所杉町省次郎運営委員長: 「一番は赤潮でノリがとれなくなる色落ちする、それに加えて貝類が壊滅したと」「20年くらい前から豊饒の海をいわれた海がなりわいされんような海になった」 ノリ漁師歴53年の杉町省次郎さんは「宝の海」と呼ばれた有明海を取り戻すため自分たちにもできることはないかと探る中でかつて先人が行っていたというこの取り組みに思い当たりました。 ササを海底に突き刺すことで潮の流れをかき回しノリや二枚貝の生育に悪影響を及ぼす貧酸素を解消。 このササに藻が生え、魚のえさとなるプランクトンが発生。 さらにササは、カキなど貝類の幼生や、ノリの胞子などを付着させて育てる採苗器の役割も果たしているといいます。 作業を進めていると1隻の漁船が近づいてきました。 なんと漁船の上には大きなスズキが。 スズキ漁師田中肇さん: 「(初日にしては)大漁よ」「ここに魚が逃げてくる網が入らんけん」「プランクトン関係も違う」 この日はスズキの他にマナガツオなども釣れたといいます。 県有明海漁協佐賀市支所 杉町省次郎運営委員長: 「自分たちが金もうけできるより、そこをなりわいとしている人たちからいいといわれることが喜び」 取り組むこと5年。杉町さんは、少しずつ魚介類の増加を実感しています。 2007年以降を休漁を続けていた有明海特有の二枚貝ウミタケはおととしから試験操業を再開。 今年は生息範囲の拡大や成貝の増加などをうけさらに規模や期間を拡大しました。 県有明海漁協佐賀市支所 杉町省次郎運営委員長: 「一番は後継者が育つような海になってもらいたい。漁業者はいいと思ってもらえる海になれば。それが最終目的」 魚介類の住処を作る「海の森」。 「宝の海」と呼ばれた有明海の再生を目指して一歩ずつ、漁業者の歩みは続きます。