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ニューヨーク港で周辺のカキ礁を復活させようとする取り組みが行われている/Alfredo Alcántara

ニューヨーク港は、長年の汚染により、生息する海洋生物が激減している。しかし、ある非営利組織が濁った水を浄化し、長らく失われていた生態系を復活させようとしている。

米非営利組織ビリオン・オイスター・プロジェクト(カキ10億個再生プロジェクト:BOP)は、2014年からニューヨーク港周辺の海でカキ礁の再生に取り組んでいる。カキは天然の浄水器で、成体のカキ1つで1日あたり約・・・
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出典情報:
CNN|2019-07-20

編集長コメント:
なんだか日本の芸能界も浄化っぽい流れになているが、牡蠣はニューヨークを浄化してるんだぜ!

2019-07-22 ニューヨーク(CNN Business) ニューヨーク港は、長年の汚染により、生息する海洋生物が激減している。しかし、ある非営利組織が濁った水を浄化し、長らく失われていた生態系を復活させようとしている。 米非営利組織ビリオン・オイスター・プロジェクト(カキ10億個再生プロジェクト:BOP)は、2014年からニューヨーク港周辺の海でカキ礁の再生に取り組んでいる。カキは天然の浄水器で、成体のカキ1つで1日あたり約190リットルの浄化が可能だ。またカキ礁は、他の海洋生物の生息環境になり、さらに嵐の際にニューヨークの海岸を高潮から守る役割も果たす。 BOPは、これまでにニューヨーク港周辺の海に生息するカキの数を約3000万個にまで回復させたが、かつてこの海に生息していた数に比べればほんのわずかだ。 「カキ礁がなければ、海岸線全体が根本的に変わってしまう」と語るのは、BOPの事務局長を務めるピート・マリノフスキー氏だ。 マリノフスキー氏は、「今、気候変動に対する弾力性強化や先を見越した計画作りに向けた統合的な取り組みがなされており、カキ礁はその取り組みの一環となりうるとわれわれは考えている」と付け加えた。 すでに明るい兆しが見えているという。昨年、BOPのカキ礁に付着した天然ガキの数が「劇的に」増加した。 BOPは提携するレストランからカキの殻を回収し、幼生を付着させて稚貝として育てる/Alfredo Alcántara 「(カキ礁の)再生を成功させるには、生態系から天然ガキを動員する必要がある」とマリノフスキー氏は言う。それにより、カキの数が飛躍的に増えるのだ。 BOPはその名の示す通り、いつの日かニューヨークの水路に生息するカキの数を10億個まで回復させたい考えだ。 カキ礁再生の取り組み BOPは、ニューヨーク市内の70以上のレストランと提携している。各レストランは、使用したカキの殻を捨てずに取っておき、BOPと提携する回収業者がその殻を回収し、自由の女神像の東に位置する小島、ガバナーズ島まで運ぶ。 その後、殻は最低1年間、外に放置される。これにより殻に付着した有機物質が自然に除去される。その後、殻はニューヨーク・ハーバー・スクールに送られる。ニューヨーク・ハーバー・スクールは、ガバナーズ島にある海に特化した公立高校で、このカキ礁再生プロジェクトに大きく関わっている。 生徒たちが孵化(ふか)させ、育成したカキの幼生をきれいな殻に付着させる。幼生が付着した稚貝(ちがい)は、ニューヨークの海岸沖のどこかに戦略的に配置される。 カキ礁は水を浄化する働きを持つほか、高潮を防ぐ役割も果たす/Alfredo Alcántara BOPがこれまでに作ったカキ礁は12に上り、一部は沿岸部、その他は沖の深海に配置されている。 全ての過程を通じて地域社会、特に若い生徒たちに参加してもらうことが、このプロジェクトの最優先課題だ。BOPは、ニューヨーク市の5区にある75校以上の公立学校と提携しており、生徒たちは社会見学でカキ礁や研究所を訪れ、水質の測定法やカキの成長過程の見守り方を学ぶ。 ニューヨーク近海のカキの数が産業化以前の水準近くまで回復するのはまだ先の話だが、マリノフスキー氏は、プロジェクトに参加する地元の小学生たちに勇気づけられているという。 マリノフスキー氏は、若い世代が、将来何をするにしても、この取り組みをきっかけに環境や生態学的問題について考えてくれることを願っている、と語った。