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via.BSフジ|一滴の向こう側「ただ、旨い魚を食わせたい」

先日BSフジの番組「一滴の向こう側」でも特集された高校生がセカウマクラス(世界の市場に通用するレベル)のハイクオリティな牡蠣養殖に挑戦する「OKIスター(沖縄オイスター)プロジェクト」。

そこには、国土のほとんどが海で、7000もの島を有する海洋大国、島国 ニッポンの未来を創るヒントが数多く秘められていた。今日はそれをあくまで「※僕の視点」からキーワードごとに描いていきたい。

1、沖縄の牡蠣

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牡蠣の関係者は、沖縄はもともと海水温が高すぎて牡蠣養殖には適さないということが多い。

それは、あくまで本土の品種で養殖することが前提だからだ。

そもそも世界中…地球上の海(沿岸)があれば必ずといっていいほど牡蠣がいて、入江やビーチ(干潟)の多い沖縄にも当然、たくさん牡蠣がいる。それも在来の品種が多種いる。

黒真珠で有名な黒蝶貝もその温かい海に棲息する南方系の牡蠣のひとつだ。沖縄にはこの黒蝶貝もいる。

まとめると「本土の牡蠣養殖用に使っている広島種や宮城種には海水温が高すぎる」というだけで、そもそも在来の牡蠣たちは、当然、その環境になじんで棲息しているのである。

いままで養殖されなかった理由は、その運搬費にある。それは次の項目で語りたい。

2、沖縄の牡蠣事情=牡蠣が大人気

僕のパートナー牡蠣開発者でもある「兵庫の坂越湾」の生産者、鎌島典子はこういっていた。

「つくってる牡蠣のうちの3割くらいは沖縄に行くのよ。送料高いのに」

仮に沖縄で牡蠣をつくっても、本土への運搬費で高値になってしまい売れない、という観点から、沖縄牡蠣の養殖はされてこなかった。

ところが近年、わざわざ本土から大量の牡蠣を「高い送料」を上乗せしてまで取り寄せるくらいの牡蠣人気。

後述する白迫さんも、僕の創った牡蠣の学習プログラムをわざわざ上京してまで受講して沖縄でオイスターバーをはじめたりするくらい。

そんな白迫さんは当時からいっていた。

「沖縄は牡蠣の宝庫なんです。それを地元沖縄で養殖できたら、地元のみんなにおいしい牡蠣をお得に提供できるんです!だから僕は本当は牡蠣生産者になろうと思ってるんです」と。

この思いの中に沖縄で牡蠣養殖がはじまる理由と価値がすべて含まれている。そう、本土に売ることを前提に養殖するという発想を必要ないくらいいまの沖縄オイスター市場は熱いのだ。

まぁ、世界に売る!となれば、沖縄からだろうが、成田からだろうがそう変わらない。個人的にはこの「OKIスター」もいつかセカウマ認定できる日を楽しみにしている。(セカウマ=世界一うまい牡蠣を創ろう!プロジェクト)

牡蠣の品種の豊富さ、海のキレイさや、養殖の適した入江やビーチ(干潟)には事欠かないのだから…そのあたりを次の項目で語っていきたい。

3、最新式牡蠣養殖に最適なキレイ海とビーチ

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もともと牡蠣は干潟の生き物。干満の差があって、適度に空気中と陽の光にさらされ、また海に沈んでを繰り返すことで育っていくのが理想的。

あとは、エサとなるプランクトン。湧水や川が流れ込まないとプランクトンは増えない。しかも入江状態でそれが溜まらないといけない。

そこまでのプランクトン溜まりはないが、それでも島の入り組んだ地形、よくいうところのプライベートビーチのような場所も多くあり、それが牡蠣の棲家としては最適といえる。

そんな観点からいくと、沖縄に多種の牡蠣が棲息しているのもうなずける。

そして、ここに大きなポイントがある。世界の市場で活躍しているフランスやオーストラリア、北米の生産者の多くは、広大な干潟やビーチを活かし養殖している。

しかも「殻付き生牡蠣=殻のデザインの重要性」も満たす最新式の養殖システムでだ。

その最新式の牡蠣養殖を日本に拡めてほしいと、フランスや豪州の政府やパートナー企業から頼まれることもしばしばだったが、そもそも現在の本土の牡蠣養殖は、そのほぼすべてがカルチ盤(ホタテ)を使った垂下式(しずめっぱなし)の養殖で、仏や豪の最新式養殖やその機材は導入したところで、無駄に終わることがわかっていたので、まずはそのあたり「ローカライズ」の重要性を問うていた。

ところがね、まぁ、売れるか売れないかまだわからない日本市場のために「まったく新しい養殖方法とその機材一式」を創るためには、相当な先行投資がいる。

結局は、とにかくいまある「最近機材」とやらを強引に「売りつける」ビジネスに落ち着いていったので、僕は自分のパートナー生産者が、最新の技術を学べる機会として活用させていただく以外は、さりげなくフェイドアウトしてしまった。

ひとつ心残りは、そういった「わかってないでお金のために売ってしまう」ことが平気な人間もその当時、この関係者に紹介してしまっていて、気が付いたら、その特性にあってない「最新の養殖機材」を周りの生産者が倉庫に無駄に眠らせている事態となっていた。

ところが、この最新式の養殖方法や機材、特にオーストラリアのスタイルは、この沖縄のビーチに最適なのだ!

しかも、オーストラリアのビーチはプランクトンが少ない。その分、少し時間をかけて育てる方法も確立されており、そのスローさのメリットとして牡蠣のデザインは良くなる。

つまりは、無駄に供給された本土の生産者の倉庫に眠っている機材も活きるし、やっと僕もオーストラリアやフランスのパートナーの役にたてるかもしれない。

このダブついてる養殖機材はどうせ使わないから、どんどんこの「OKIスター」プロジェクトにまわせばいいのだ。

ちゃんと廻るのか?それは安心してください。実際に、そんな無駄をただただ放っておいたわけではなく、僕のパートナーには有明海を護るために、その干潟を活かして牡蠣養殖をはじめている生産者もちゃんといて、その仏や豪州のスジも最初からキッチリ殻んでいて、「わかってないアキンド」から、その雄に「自然に」バトンタッチされているから。

(意図的にダブつかせた!?それはどうでしょw)

4、牡蠣生産者 梅津サトシ

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僕が認定するセカウマ開発者2人のうちのひとり。

彼はそもそも彼の地元である有明海を護りたいと牡蠣養殖をはじめた。たった5年前に。ただ、もともとが超一流の潜水士(モグリ、海中工事を行う海の超プロフェッショナル)で、会社も経営し成功していた。

そんな彼からすれば、牡蠣の養殖など、海中深く潜り配線することに較べたら、作業自体はお茶の子さいさいだったのだろう。そんな彼の会社や仲間の潜水士たちも、彼の牡蠣養殖に協力する。

ほとんどの牡蠣生産者は、海の上からしか牡蠣を触っていない。それを彼は潜って触れる。牡蠣業界に建設業のノウハウと、潜水士のノウハウを持ち込み、まったく違う角度から牡蠣養殖技術を編み出してしまった。

彼の偉いところは、その勤勉さにある。牡蠣養殖に関しては素人であることを認め、精力的にフランス、オーストラリア、北米などのエース生産者のもとへ勉強の旅を行ったりしている。

なによりまず、まっさきに僕の門戸を叩いてくれた…どっちかというと叩き壊しに来た感じだったが(マヂな話。イベントに殴り込みにきた。この話は長くなるのでまた別の機会に)。

僕のところにきた理由は、かき日本一決定戦などを主催していたから。彼は誰より海を護るためにも、地元の町おこしをするためにも、なによりいい牡蠣をつくるためにも「有名」「ブランド」がその機会を創出してくれることを知っていて、僕にその可能性をみたのだろう。

そんなこんなで、彼はあっという間に、文句なしに思わずセカウマ認定してしまう牡蠣を生みだし、昨年リリース。押しも押されぬエース生産者に躍り出た。

そして、もうわかるとは思うが、この「OKIスタープロジェクト」において、牡蠣の養殖を指導したりできるのは、この梅津サトシ以外、日本にいないのだ。みんなビーチで牡蠣を育てる方法なんて知らないし、やったことがないのだから。

彼なら、オーストラリアやフランス、北米からも人材や機材を招聘できるし、それこそ、「OKIスター」を世界ブランドにする足がかりも創れる。指導だけでなくプロデュースまで手掛けられるってことだ。

さてさて「OKIスタープロジェクト」がいかに素晴らしいプロジェクトかだいぶ伝わってきたともう。ではこの素晴らしいプロジェクトはそもそもなにがキッカケで始まったのだろうか。いきなり特集を組んでもらえる理由は!?

それは、次に語る、今回の主役でもある元農水キャリアの熱い思いに端を発する。

5、元キャリア官僚 上田勝彦

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上田勝彦氏。この方についてや、その活躍については、もはや僕がなにも語る必要はないだろう。

そんな男が牡蠣にも目をつけてくれたことは嬉しい。そして、その思いが端を発し、僕も多少なりとも関係のある梅津氏や白迫氏など新たな牡蠣界のエースたちが結集していることも。

実は数年前(2012年だったかな)に上田さんとは語り合わせてもらったことがある。僕がなぜ「かき日本一決定戦」や「オイスターマイスター」など(当時はまだセカウマは構想だけで存在していない)ブランドにこだわるのか。

みながハイクオリティなオイスター(安全でおいしい生牡蠣)を望むようになれば、必然的に海を護ったりキレイにするしかない。ほとんどが海の日本。たのしくおいしくその未来を創ることができる、と。

でも、当時は、牡蠣の安全性については「加熱すればいいやん」と冷たく云われてしまった。良く考えたら当時の上田さんはまだ農林水産省の役人だったし、それでなくとも魚食を伸ばしたいわけだから、ともすれば一旦は牡蠣の流通量を減らしてしまうことになりかねない僕の発想に同意できるはずもなかったわけで。

いまはどうだろうか。また機会があれば語り合いたい。

そんなもはや魚産業における英雄である上田氏と、この番組の牡蠣のくだりでがっつりと殻んでいた男がいる。前述の沖縄は北谷でオイスターバーを営む白迫氏だ。次はこの男はいったい何者なのかについて語ろう。

出典情報:
一滴の向こう側「ただ、旨い魚を食わせたい」|BSフジ2016年9月17日(土) 22:00~22:30


2016-09-30