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カキブーム 豊富な種類食べ比べ
ブルームバーグ|Peter S.Green

米ニューヨーク、ロングアイランドのグレート・サウス湾でカヤックを漕ぎながら、クリス・カルトゥッチョ氏は「あちこちでカキの養殖が行われている」と話した。彼もその一人で、この湾の浅瀬で30万個あまりのブルー・アイランドという種類のカキを育てている。

カキは種類によって見た目と味がさまざまで、名前も風変わりだ。ワールス&カーペンターにマトゥヌック。カルトゥッチョ氏が育てる中で一番売れるのは・・


出典情報:
SankeiBiz

Ver.2015-09-23、2013-12-21
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 米ニューヨーク、ロングアイランドのグレート・サウス湾でカヤックを漕ぎながら、クリス・カルトゥッチョ氏は「あちこちでカキの養殖が行われている」と話した。彼もその一人で、この湾の浅瀬で30万個あまりのブルー・アイランドという種類のカキを育てている。  カキは種類によって見た目と味がさまざまで、名前も風変わりだ。ワールス&カーペンターにマトゥヌック。カルトゥッチョ氏が育てる中で一番売れるのはネイキッド・カウボーイで、ニューヨークのフォーシーズンズ・ホテルがひいきにしている。  ◆ここ10年で再燃  150年前、カキとカキの缶詰は米国の主要産業だった。アメリカ大陸先住民族の胃袋を満たし、ヨーロッパからの入植者を食いつながせていたカキは、19世紀の米国では牛肉よりも多く消費されていたのだ。カキ礁は米国北東部でサンゴ礁の役目を果たし、泥で海水が濁るのを防いで豊かな漁場を維持した。しかし1800年代後半には乱獲によって豊かなカキ礁の大部分が破壊され、1960年代には汚染と農業排水で残りのカキ礁も壊滅的となった。72年の水質保全法がカキ礁復興の契機となり、さらに21世紀に入ってここ10年で地産地消を推進する人々によるカキ革命が始まった。  「ハチはなぜ大量死したのか」の著者で、地元のカキを楽しむためのガイド本「A Geography of Oysters(仮題:カキの地理学)」を書いた、ローワン・ジェイコブセン氏は「カキは、育った場所の水が濃縮されたもの。ワイン以上に味わいに幅がある」と述べている。  ワインでは、生育地のあらゆる気候風土に相当するものを「テロワール」というが、カキの場合、目利きたちは生育環境の海藻、ミネラル、塩分濃度、水温といった海の作用を二枚貝の「メロワール」と呼んでいる。
 ラスベガスの料理人で「持続可能なシーフード運動」を率いるリック・モーネン氏によると、カキは種類、生育地の水、そして育て方によって異なる風味を持つ。また同氏はカキを「優秀な小型掃除機」と表現し、「カキが増えれば増えるほど、環境が浄化される」と話した。  東海岸のカキを試食してみると、塩気、青くささ、濃厚さの点でかすかな違いが感じられた。フロリダ州やチェサピーク湾産のカキは肉厚で水気が多く、メーン州やプリンスエドワード島産のカキは、塩気が強い上に、冷たい海水の影響できりっとした磯の風味がある。  3代にわたってカキの養殖業を営むレッグ・トゥシル氏(77)は「大事なのは潮の流れ」と話す。彼が育てるオイスターポンドという種類のカキは、ロングアイランドのノースフォーク地域で最も濃厚かつ塩気が強い。立派な殻に入ったベージュの身は、引き締まってつやつやと輝きを放ち、外海独特の風味を持つ。  カキは、冬の寒さを耐え抜くために太ることで、甘く肉厚になる。  養殖業者にできるのは、微小な海綿動物や親指大のカニが未熟なカキの殻をこじ開けたりしないよう、カキと養殖かごをときどき洗うことぐらいだ。  「お天道さまが一番の相棒だ。日光だけでなく食べ物をくれるんだから。自分たち人間は、カキを袋に詰めるだけ」(トゥシル氏)  グリーンポート近郊に住むマイク・オジンスキー氏は、フランス式の養殖方法を取っている。彼はある日、海辺にある自宅が、2ヘクタールのカキ養殖場に隣接していることに気づいた。
 仏ブルターニュ地方の沿岸で発達した方法にならい、オジンスキー氏は、潮の流れが常に栄養豊富な水を運んでくる海底付近にカキを漂わせておく。そして通常は1年ちょっとから1年半のところを3年かけて成熟させ長くて平べったいカキに育てる。そうすると、程よく身が引き締まった素晴らしいカキができるのだ。しっかりとした塩気があり、海底の泥くささはない。  オジンスキー氏は最近、年季の入った米ゼネラル・モーターズ(GM)製キャデラックを買い替え、今は独メルセデス・ベンツのダッジ・スプリンターでレストランなどへの配送を行っている。  ◆多くの雇用支える  現在、カキの養殖は東海岸と北西部で年間4000万ドル(約41億2300万円)規模の産業となっている。東海岸貝類生産者協会を運営するボブ・レオールト氏によると、フロリダとメキシコ湾ではさらに大規模で、業者は大振りで淡泊な南部のカキをフライやシチュー用にバケツで目方売りしているという。  小規模なカキ養殖は多くの人の雇用を支え、沿岸地域の生態系をよみがえらせた。だがもっとも恩恵を受けたのは、今や国中のレストランでさまざまな種類のカキを選べる消費者だろう。モーネン氏は自身のレストラン「RMシーフード」で、西海岸と東海岸のカキを毎日それぞれ3種類ずつ出している。  カキの専門家で、ブルックリンのレストラン「メゾン・プレミア」の共同所有者でもあるクリストフ・ジズカ氏によると、オイスター・バーは19世紀にニューヨークで発祥したという。「カキが再び流行になっている。追いついていくのが大変だ」と話す彼のレストランでは、常時33種類のカキをそろえ、週に1万3000個を売り上げるという。(ブルームバーグ Peter S.Green)