‪‪ 牡蠣百科|カキペディア|Kakipedia

人気のテレビ番組「月曜から世ふかし」風にサラッとタイトルをつけさせてもらったのですが、実はそんなサラっとした問題ではなく、その根源は牡蠣だけ日本だけにとどまらず、世界的な忌々しき問題なのです。

以前開催させていただいた「かき日本一決定戦」で見事に第1位に輝いたのは、長崎の某産地の生産者の方の牡蠣なのですが、その産地の周辺でその牡蠣を生で食べられるお店はありません。

県知事に表彰され市を挙げて表彰式まで行われたにも関わらずです。

牡蠣は産地100点の法則というのがあります。水揚げしてすぐいただくのが一番おいしいという法則です。

もし僕が「牡蠣を提供するお店」をやるなら、お客様の口に入るまでの間に、その点数を1点でも下がらないように!それだけを考えるでしょう。

とはいえ、もし叶うなら、牡蠣ファンなら「高い交通費」を払ってでも、実際に現地に赴き牡蠣を食べてほしい…

長崎の現地の飲食店の方々や、漁協や役所の方と協議を重ねたのですが、出すなら「焼きか蒸しで」とつれない回答を得たのみでした…それはいまも変わりません。

県外には生食で出荷しているのに…も関わらずです。

皆が共通して語る理由は「牡蠣はあぶない」
あとは「保健所がうるさいから」…そんな保健所ににらまれるような牡蠣なのか??

県外に対してのPRには使うが、責任の及ぶ地域の飲食店で公式に推奨して展開することは避けたい…飲食店側も保健所に目をつけられたくない…万が一のことがあったら逆にマイナスイメージ…などなど…

最たるは、日本において牡蠣生産量No.1を誇る広島。

広島の方は、生で牡蠣を食べないというのです…実際に、調べてみたところ広島市内において生で牡蠣を提供している飲食店は本当に数えるほど…

理由を尋ねると、やはり「あぶない」、そして「くさい」「おいしくない」などです。

もっとすごい理由になると「なんでかわからないけど食べない」…しいて考えてみると「たぶん親から牡蠣は食べない方がいいと言われているからだと思う」と。

それにしても日本No.1の牡蠣産地にして、生で食べられるお店が数えるほどしかないとは…

どちらも共通して語る理由は「あぶない」ということ…

牡蠣は1個が1日約300リットルもの海水を濾過して育つ、他の生物にない類まれなる特質をもっています。

産地の方たちだからこそ、海がそこにあるからこそ、海の現状現実を知っているのではないか。

汚水排水が流れ込み、干潟は埋め立てられ、それは海の自然浄化機能を失わせ、ヘドロが溜まり悪臭を放つ海が目の前にある現実を。

そして牡蠣はその「膿」を、僕らに送り返しているに他ならない。本来は「海の恵み」を贈り届けてくれる奇跡の食材であるはずなのに。

このような背景のある広島で「殻付き生牡蠣」を専門に提供し続けるお店を営む英雄がいます。その男の名は、ヒロ山本

彼はよほどの…「超が付くほどの牡蠣好き」だったのか。答えは「」。

広島の他の方の例にもれず、はっきり言ってしまえば「牡蠣は大嫌い」だったというのです。

子供のときにお父さんに食べさせてもらったのは焼き牡蠣だったといいます。その印象が「くさい」「まずい」だったというのです。

いま広島で牡蠣をたべないという方たちは、少なからず、この幼少期の経験があるのではないでしょうか。

大人になった彼は、世界中を周り、あらためて広島の価値を知りました…その中には当然「牡蠣生産No.1の地」であるということも。

そして気が付きます。

そう思ってきた観光客がガッカリして帰っている…特に欧米の方は「殻付き生牡蠣」が牡蠣の基本。

もう観光客がガッカリして帰っていくのはみたくない…そう思った彼は、あらためて牡蠣を調べ始めました…やはりくさいまずい…そんなものがなんでヒトの心を掴むんだろう…

そんなときに、ひとりの生産者に出会います。そして、真実を知ったのです。

かきおいしい は うみおいしい」であるというシンプルな真実を。ヘドロ臭いのも、ウィルスも菌も、すべて人間が牡蠣にもたらすものだということ。

有名なノロウィルスは人からのみ発生します。ノロウィルスがいるということは、ウンチが流れ込み…つまりは人が海を汚したことの証明…このウィルスが世に現れたのはちょうど高度経済成長において海洋汚染が激しくなり始めた頃のこと。

ウィルスの誕生はいまだに謎とされている…果たして偶然の出来事なのでしょうか??その生産者の養殖海域は、まだ汚染されていない清浄海域と呼ばれるエリア。

実際に食べたその生産者の牡蠣は…いままでのイメージをすべて吹き飛ばすものでした。

「かきおいしい」

すぐに彼は、楽しみにして訪れる観光客のために「殻付き生牡蠣」の提供をはじめました。そして自分と同じように間違った認識を持ってしまった広島県人に対して、このシンプルな真実を伝え続けています。

「かきおいしい=うみおいしい」

美味しい牡蠣のためには、キレイで栄養豊富な海が必要なのです。いや、もっといえばそれ以外の海で牡蠣を生産してはいけないのです。

たしかに、牡蠣を生で食べるには、生産段階だけではなく、その輸送、そしてなにより提供、最終的には消費者の方の手洗いの実施に至るまでの注意が必要です。

でも、それは牡蠣に限らずすべての生食においていえること。

膨大な手間暇がかかったとしても、「海のエネルギー」をそのまま運んでくれ、しかもおいしい「生牡蠣」をいただくことは、存分に価値ある行為であると断言できます。

「かきおいしいうみおいしい」
カキペディアでは「このシンプルな真実」を伝え続けていきます。

そして母なる「海」が再生し、産地において気持ちよく「生牡蠣」が提供される日が来ますように。

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