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食魚に牡蠣もがな
唯ひとつ牡蠣も牡蠣
長門の入海の其の浦なるや
岩の稜に着きたる牡蠣こそや
読む文 書く手も
八十種好紫磨金色
足らうたる男子は生め



「択食魚」は「つはりな」と読み、ツワリのときに食べるといいとされていた滋養食のことだそう。妊娠した女性が元気な男の子を生めるように「牡蠣は牡蠣でも、長門の入海という浦の、岩のそばにある牡蠣が欲しい」という内容の歌です。万葉集の記述から「長門の入海」は「広島県の安芸、倉橋島」あたりではないかとのこと。

平安時代から牡蠣は元気の素であることがみんなに知られていたのですね! ちなみに、牡蠣の養殖は室町時代に広島から始まったといわれています。 なので、このころ食べられていたのは、広島に自生していた天然の牡蠣だと思われます。 いずれにしても、広島の牡蠣は今も昔も有名なのですね!

そんな妊婦の滋養食として有名だった牡蠣も…昨今、「牡蠣を食べないほうがいい」と言われたと妊婦方から聞くことが多くなりました。特に産婦人科の先生に言われたというのです…平安時代から食べていたのに…最近の医学の進歩でなにか新事実が発見されたのでしょうか…?!

実際に産婦人科の先生に確認したところ「牡蠣はいまでも妊婦にとって最適な食材です!」というのです。???…では、なぜ「牡蠣を食べないように」と促すのですか?

その答えは以下のようなものでした。

いまのように肉や卵など栄養豊富な食材が手軽に手に入らなかった時代、妊娠したといえば、滋養強壮かつ栄養吸収もいい牡蠣を食べるの習わしなくらいでした。ところが昨今、汚染された海で生産された牡蠣の影響で「あたる(食中毒)」事故が増えました。

昔からの習わしでもあり、妊婦に牡蠣たべるようすすめる方が多くいて、妊婦が病気になるのを避けるため、私たち(産婦人科の先生)はあえて「牡蠣を食べないように」と注意を促がすようになりました。

そういった背景の説明がなされないまま「牡蠣を食べないように」とだけ促すので、いつのまにか「妊婦は牡蠣を食べてはいけない」に発展してしまったのではないかと思います。

加えて不妊治療のアイテムとしても牡蠣を食べることを勧めるため、せっかく妊娠にしたあとにも、継続して牡蠣を食べてしまわないように・・ということもあるのだそうです

牡蠣は1日に約400リットルもの海水を濾過して育つといわれているので、海洋汚染をそのまま人間に戻してしまうこともあるのです…逆にいえば、汚染されていない海域で採取された牡蠣であれば「あたる」心配はなく、昔と同様、妊婦に最適な食材といえるわけです

ただし、たくさんの海の成分を含有しているおり、アレルギーの場合もあるので、その場合は無理して食べないようお願いいたします。

海のエネルギーを凝縮して僕らに運んでくれる牡蠣。セックスミネラルと呼ばれる亜鉛もたっぷりです。男も女も、老いも若きも、妊娠前も後も、みんなでたくさん牡蠣を食べて「少子化問題」を打破しましょう!


出典情報:
・梁塵秘抄
・東邦大学医療センター産婦人科
・国際中医薬膳師 坂本雅代


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