
日本人は大きくて太ったカキが大好き!
(最近はオイスターバーも増えてきたので違うかもしれませんが…)
逃げない食材、カキ。だからこそ遥か昔、人類誕生の頃から愛食されています。
1日300リットル以上の海水を濾過するカキは、栄養豊富。古代人もデータはなくとも感覚的にそれを感じていたに違いありません。そして、中国からの影響もあり、滋養強壮や健康増進の漢方食材、薬膳食材として拡まっています。
さらに極めつけは、日本特有種の岩牡蠣(イワガキ)=Crossostrea Nippona。カキはその生存年数分だけ成長していきます。天然物は、海で自然に育っているものを漁師さんたちが潜って獲ってくる「獲ったどぉ~」の世界。
小さいものはまた海に戻すなどしているということなので、必然的に5年、6年は当たり前のものが流通しているわけです。
つまりは大きい!
※岩牡蠣は殻をつくるプロフェショナル。大きくても殻ばっかり大きい場合があるのでご注意ください⇒ 良い岩牡蠣の見分け方
というわけでそういった様々な背景から、日本人は大きいカキが大好きになっていると僕は考えます。
で、本日の本題。本当に「大きいカキ」は「美味しいカキ」なのかという点です。
ちょっと考えていただきたいのは、大きいということの問題点。それは『 一口で食べられない 』ということ。つまりは、ヒダヒダと貝柱と身をバラバラに食べないといけないということなのです。
フランスの有名シェフたちは口々にいいます。
「貝柱だけならホタテを選ぶ」と。
そのコリコリのヒダヒダに、大きな貝柱に、ハマグリのような皮膚に、クリーミーな内臓と海水のソースが絶妙に絡み合った極上の一品。
それを一口で味わうからこそ美味しいのではないだろうか…いや、一口で味わうからこそ美味しいのだ!と。そう、カキは、殻を開けたその瞬間から極上の一品、料理として完成している奇跡の食材なのであります。
さらに、カキがすごいのは、その殻。その殻が、その料理を一番美しく飾る最高の器へと変貌します。しかも、ちょっと大きめのスプーンのような形状をしていて食べやすくなっている。
超一流シェフの料理は、その味だけでなく、その器や盛り付けにもこだわり、アートといわれています。
最高の一口料理に最高の器…そう、殻付き生ガキはアート!そして、殻付き生ガキの生産者はアーティストなのです!
食感を楽しませるために貝柱を太くしたり、皮膚を厚くしたり、クリーミーさと海水の調和から最高のソースを生み出す。
そして、殻を器としてデザインしていく。それを食べやすい大きさに整えすべてをベストなバランスで贈りだす。カキを育てるプロというだけでなく、まさにシェフ!まさにアーティスト!
というわけで、欧米のオイスター文化では、一口サイズにこだわるのです。
一口のサイズはヒトによって様々。なので、フランスでは法律で6段階にサイズ(重さで)分けされています。
たぶん、ほとんどの皆さんがこういった観点から殻付き生ガキをたべたことがないかと思います。
なので、いまから牡蠣の専門店 に行って皆さんそれぞれのMyベストオイスターを探究していていただければと思います♪
大きいカキはたしかにテンションがあがるエンターテイメントではあります。が、美味しいのは一口サイズのアートなカキなのだということをちょっと心にお留め置きいただければと。
ver.2015-10-15、2013-10-29、2012-06-02