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本日のカキペディアは、牡蠣の人のツイッターに寄せられた質問への回答です。

質問:
以前Oregonに住んでいたのですが、牡蠣が日本の牡蠣とそっくりでした。味も形も。アメリカと日本の牡蠣、何か関係あるのですか? どちらも養殖の牡蠣です。

回答:
アメリカに移住し開拓した人々が、カキで飢えをしのいだことから、カキには特別の思い入れがあり、基本的には魚介類を生で食べる文化が根付いていないアメリカにおいても、カキは特別で、生で食べる習慣があるのはそのためといわれております。

そして・・・

現在のアメリカで養殖されているカキの多くは、日本の牡蠣がベースになっているのです!

最初に日本のカキがアメリカに渡ったのは、なんと明治時代!

当時、アメリカのカキ市場は、90%を占めるイースタンオイスター(東部のカキ)と、残りの10%がウェスタンオイスター(西部のカキ)でした。

ときは明治30年代半ば(1900年頃)、

そのウェスタンオイスターが乱獲と寒さに弱いため生産が減少。

東部のカキをはじめ、様々なカキを用いて養殖を試したがうまくいかない。

そんなときに日本のマガキを試したところ、寒さに強いうえに成長速度もはやいという結果が。(牡蠣は1日300リットル以上の海水を吸込み育ちます。日本の海にしかない強く美味しくなる特有の海の恵みがあるのだと思います。)

そこで、宮城県(松島など)の種ガキが大量にアメリカに運ばれるようになり、各地で日本のマガキベースのカキが養殖されるようになったのです。

このカキは「パシフィックオイスター」と呼ばれシェアを拡大していったそうです。

そして、第2次大戦に突入・・・日本からの種ガキの輸出もなくなりました・・・

時はたち戦後。

アメリカは、1940年代から50年代初頭にかけて、カキの乱獲およびカキ自体の病気が原因で、絶滅の危機に瀕しておりました。

戦争になると天然の栄養剤である牡蠣は大変な人気になるそうです。で、子供を産む分においてあった親貝まで全部たべてしまった・・それを乱獲といいます。

そんなおり、また生命力の強い日本の牡蠣が注目されました。

当時、日本に駐留していたマッカーサー元帥に日本から牡蠣(およびその種=幼生を付着させたもの)を本国に輸出するよう命令がくだったのです。

当初、アメリカは実績のあった宮城県のカキを要望しました。

ところが、戦争の余波で宮城県の漁場も縮小や人手、資材の不足などで、アメリカが望むような大量の発注には対応できない。

そのレベルの大量な牡蠣および種の輸出が可能なのは、すでに牡蠣で有名だった広島だったのですが、第2次大戦直後・・・つまりは原爆の後遺症で対応できない状態。

そこで、国の命令により調査が開始され、日本でもあまり牡蠣で知られていなかった熊本県が名乗りをあげたのです。

様々な日本の牡蠣の候補を試していたなか、たまたま食べた当時の『クマモト』が、アメリカで好まれている、一口で食べられる小ぶりの牡蠣に似ていて、しかも、アメリカのものより味が濃く美味しい!と評判になったことが、選抜の理由ともいわれております。

国からの特命。

輸出どころか大量生産の経験もない熊本県で、大量の牡蠣をアメリカに輸出する壮大なプロジェクトがはじまりました・・・

太田扶桑男」氏が活躍したこのお話はまた後日。

こうして熊本で養殖が開始され、アメリカに送られたのです。

当初は牡蠣の輸出も行われていたのですが、当時の輸送技術では鮮度の維持が難しく、種牡蠣(幼生を付着させたもの)のみの輸出に切り替わっていきました。

日本の牡蠣の種は非常に生命力が強く、成長もはやい。

そして病気にも打ち勝ち、大量生産を実現したのでした。

そして、いつまでも日本の種に頼っていられないと考えたアメリカは、この日本の種をベースに研究を重ね、アメリカ独自での養殖が始まりました。

さらには、アメリカのもともとのカキとの共生にも成功し、いまのアメリカのカキが誕生したといわれております。

その中でも、熊本から輸出された中に混ざっていた小ぶりのシカメ牡蠣という品種は、「クマモト」と特別扱いされ、いつしか「ウェスタン・ジェム(西方の宝)」と呼ばれ、アメリカにおいて一番売れたカキ、一番美味しいカキとして表彰されるなど大活躍することになります。

西方の宝・・・元は日本の牡蠣なのでしいていえば「東洋の宝」だとは思うのですが、すでにアメリカ独自で養殖がはじまっていたので、仕方がないですね。

日本では小ぶりな牡蠣は好まれないことが影響したのか、いつのまにか本場の熊本では生産されなくなり、いまでは「クマモトオイスター」という名前のまま、アメリカのカキとして世界で有名になっております。

アメリカやカナダのカキ養殖者は、この『クマモト』に憧れ、『クマモト』に似たカキの生産に挑戦するまでに。

例えば、有名なのはカナダの『Kussi(クッシ、屈指)』やワシントンの『Shigoku(シゴク、至極)』など。

クマモトも含め、日本も逆輸入しております。

2007年の貿易統計では、日本はアメリカからカキを輸入しているものの、日本からアメリカへの輸出は、統計上では「0」。

アメリカのレストランや和食のお店が個人レベルで取引してるにとどまっております。

オーストラリアも、日本の牡蠣やその種、養殖技術を取り入れたり、参考にして現在があると、オーストラリアのカキ生産者の方が公言しております。

日本の牡蠣は実は世界のウィンドウズ(OS)でありグーグル、つまりは「グローバルスタンダード」なのであります。

日本が世界に誇れるものは「マンガとゲーム」とアメリカのメディアに言われてしまう今日この頃・・・
(それだけマンガとゲームがすごいってことですが)

僕ことカキペディア編集長も、世界に誇る世界一元気でおいしい日本の牡蠣を、もっと世界の皆様にも楽しんでいただきたい!という思いから、日本の牡蠣を世界へ贈りだす様々なプロジェクトを手掛けております。

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