‪‪ 殻のサイズやデザイン(カタチ)をコントロールできるように、牡蠣の殻を細かく砕いたものなどに、牡蠣の幼生を一粒一粒付着させ、約2ミリ~2センチ程度になるまで成長させたもの。

もともと牡蠣の幼生を付着させたものをシード(種)といい、一粒一粒付着させることから、シングル(一粒)、あわせて「シングルシード」と称されるようになった。 日本では「一粒かき」とも称される。

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シングルシードの生産方法だが、現在、専用のプール(ファクトリー、ハッチェリー)で人工的に採苗する方法と、天然で採苗する方法の2種類がある。

天然の場合は、一度付着するとはがれないようにするためのホタテ貝ではなく、ある程度の大きさになったらすぐにはがせるツルツルのホタテに似せたプラスティック採苗機を、ホタテ殻と同様に海中に仕掛け、海中を浮遊している幼生を付着させ、それをはがすことで、生産する。

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牡蠣は、もともと、卵から孵ったあと幼生として海中を浮遊し、牡蠣や岩などに付着する。

その性質を利用して、長らくホタテ貝の殻を幼生の浮遊するエリアに仕掛け採苗(付着させる)するカルチ法がとられていた。

この方法は、牡蠣を大量に養殖することができ、養殖の革命とも言われたが、殻のカタチやサイズ、デザインをコントロールするのが難しく、欧米で主流の殻付き生牡蠣を生産するのに適してはいなかった。

カルチ法はホタテ貝の殻1枚につき30~50個の幼生を付着させたものを養殖に使う。 そのため、牡蠣同志が互いにせめぎあい、殻のカタチや身入りが安定しにくくなるのである。

また、殻付き生牡蠣で出荷するのに際し、雑菌の温床となりやすい殻をできるだけキレイにしておく方が、提供者や消費者にとって重要なことなのだが、30~50個以上付着している塊であることから、養殖途中で、フジツボや海藻類が大きくなる(はがれにくくなる)前に、洗うことが難しく、水揚げ後、殻付きで出荷する場合、殻をキレイにするのに非常に手間がかかっていた。

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なんとか殻付き生牡蠣として、殻が「キレイで、同じサイズ、同じデザイン」で提供できないものだろうか。 そこでシングルシードが活躍する。

一粒一粒バラバラであるため、数量をコントロールして、袋やカゴに入れ、一個一個に空間的猶予を持たせながら育てることが可能。

また出荷までに何回かグレーディング(サイズ選別)を行い、大きさごとにカゴを入れ替えることで、サイズをコントロールする。

ワンサイズで出荷したい場合は、大きなものはエサの少ないエリアへ、小さなものはエサの多いエリアへ。そのようにして出荷時には大きさが均一になるように養殖する。

フランスのように法律で牡蠣の出荷サイズが6段階に決められている場合は、出荷までに多い生産者で24回、少なくても8回程度のグレーディングを行い、きっちり6サイズ(重さごと)に分ける。

フランスは、1970年台前後にもともといたヨーロッパヒラガキが絶滅して以降、現在9割以上が日本のマガキを生産しているが、この日本のマガキの登場で、このサイズ分けを余儀なくされた。

ヨーロッパヒラガキはもともと一定サイズで成長が止まり、それほどサイズがバラバラになる品種ではなかった。が、日本のマガキは違い、その年数分成長していく。

フランスの市場や消費者は、同じ値段を払うのにサイズが違う牡蠣を理不尽と感じ、拒否反応を示した。そして、ついには6段階のサイズに分け出荷するよう法律を制定するにいたった。

サイズをコントロールするには、どうすればいいか。そこでオーストラリアのシングルシード法に白羽の矢が立ち、学び導入したという経緯がある。

いずれも最大のメリットは、この何回も行うグレーディング時に殻を洗うことで、フジツボや海藻類が大きくなる前に容易に振り落すことができ、出荷時には殻が大変キレイな状態であり、提供者の衛生管理に大きく貢献、なにより消費者の健康保護に繋がっている点である。

さらに、味の面でもかなりの差がでる。

殻が汚いまま発砲スチロールで発送すると、その輸送時に冷薫状態となり、殻の外の匂いが身に移ってしまうのだ。せっかく水揚げ時にピュアだった味わいが損なわれてしまうのである。

もともと、剥き身が市場の主流で、殻は捨ててしまう傾向にあった日本の市場では、シングルシード法はさほど注目を集めていなかったが、昨今のオイスターバーブームなどにより、殻付き生牡蠣の消費(需要)が伸びたため、殻付き生牡蠣の生産用に導入する生産者も増え始めている。

日本で最初にシングルシードの牡蠣を出荷したのは、北海道の厚岸。厚岸は、もともと海水温が低いため、牡蠣がほとんど産卵しない。

そのため、天然採苗ができなかったのがきっかけで、温度コントロールが可能なプールで人工採苗が可能なシングルシード法を導入しようと試みたのがはじまりだそうである。

やはり、フランス同じく、オーストラリアから学んだとのこと。日本産の牡蠣の海外への輸出はほぼゼロ。

すぐお隣の台湾や香港のオイスターバーで提供されているのも、フランスやアメリカ、オーストラリアのシングルシードで生産された殻付き生牡蠣だ。

日本でもさらにシングルシード法など、殻のサイズやデザインをコントロールできる生産法が広まり、消費者のさらなる満足を生み出すこと。

そして、殻付き生牡蠣が中心の欧米市場をはじめとした海外市場で、日本産の牡蠣が競争力を持つことを強く願う。

出典情報:
・Ifremer(フランス国立海洋研究所)
・厚岸町カキ種苗センター

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