‪‪ ~ フランスにみる夏場に牡蠣を売る方法|いかにして通年流通を実現したのか ~

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日本には夏場もおいしく食べることができる岩牡蠣があるので、夏場にも牡蠣を食べる感覚は多少はあるが、それでもやはり、市場の大半を占める真牡蠣(マガキ)の流通に合わせ、冬の食べ物のイメージは強い

その市場の大半を占めるマガキは、海水温があがる時期(6月~9月)になると産卵する。しかもマガキは中が空っぽではないか?と思うほど全力で産卵するため、美味しくなくなるという理由で流通されない。

が、そのマガキも、輸送技術の発達から海外(南半球など季節が逆)の牡蠣もう輸入され、産卵しない品種の開発、産卵しない海水温低い海域での養殖などなど、通年おいしいカキの流通が可能となってきている。

そして、それをしっかりと体現しているオイスターバー も増えてきているのだが、なかなか一度ついたイメージというものは消えないものだ。

フランスも実は同じだった。古くから、牡蠣は「クリスマスの御馳走」の定番とされてきた。それはいまでも変わらない。フランス人からすると七面鳥よりクリスマスの御馳走のイメージが強いというのだから驚きだ(Internaute Magazine調べ )。

なので、クリスマスにだけ集中して売れる…クリスマスというと12月のあの1週間くらいだけと思うかもしれないが、欧米ではクリスマスシーズンと呼ばれるほど長い…11月…下手すると10月くらいから1月まで続く…そう、だいたい日本のマガキのシーズンと同じ。

ちなみに、余談ですが、欧米では牡蠣を開けるのは男の仕事…男女差別がなにかと批判され取沙汰される欧米において、なぜか牡蠣あけだけは男の仕事として認識されております。なので、典子さんが世界大会に出た 時、女性!?と前代未聞のことで話題となったのです。

フランスは、1970年前後に牡蠣が絶滅する危機 を乗り越え、日本のマガキ種を導入後、目覚ましくその生産技術を発展させていった。

なので、いまでは、通年の出荷が可能となっている…そのような中、生産者らは、なんとか通年牡蠣が売れないものだろうか?といろいろと考え、パリの有名レストランのシェフなどに相談していた。

いまから10数年前のとある日、とあるレストランのエカイエ(発祥は現在調査中、牡蠣を提供する専門の職人)が、「fruits de mer(フリュイ・ド・メール、海鮮盛り、上部写真)を思いつき提供を開始したところ、それが話題となり、パリを中心にヒットしたのだ。

どんなものかというと、簡単に言えば、牡蠣を中心に他の海鮮食材(エビ・ウニ・貝類・サーモン…)と一緒にたくさん盛り付けるというもの。まさに「海鮮盛り」。

いままで白黒だったオイスタープラッターが一気に華やかになった。 そう、ヒットした大きな理由のひとつは、その見た目の華やかさ、鮮やかさ。

フランス人は、牡蠣だけは、殻付き生牡蠣の開けたてをそのまま生で食べる。 海水も活かし、牡蠣の心臓を止めないこと=生きていることにこだわりにこだわる。

もともと海鮮食材は手を加えて調理されていたが、輸送技術も発展し、選択枝も多様化した現代、牡蠣と同じ「シンプルに食材そのままを味わう」フィロソフィーを、他の海鮮食材全般に適用、それまでそのまま食べていなかったフランス人にとってはいろんな意味で新鮮…しかも実際に牡蠣同じくシンプルがうまい!が広まったのが、もうひとつの要因。

他に添えられるエビもムールもホタテも茹でたものが中心…ただ、その海鮮盛りも、生のウニや伊勢海老、サーモンなども盛られ、さらにヒットしているという。

そしてこのヒットの最大の要因、それは紛れもない、寿司=日本の食文化の影響だという! 海鮮食材をそのままシンプルに食べるのにフランス国民が慣れたのは「寿司」があったからとのこと。

1970年代に絶滅の危機を日本に助けられたこと、そして、この海鮮をシンプルに食べる食文化を広めてくれていたこと、などなど、フランスの牡蠣生産者はとにかく日本にメチャクチャ感謝しているのである。

これにて、クリスマスシーズン以外でも、牡蠣が通年出荷される状態へと相成ったわけである。

さてさて、ここまで読んでいただいてなんなのだが…

フランス料理のあらゆる技法を必要としない…新たなフランス料理の誕生…フランス人にとっては逆転の発想… ところが…おいしい舟盛りや刺し盛りが至る所で食べることができるニッポンにおいて…このマーケティングは…逆転の発想でも…新鮮でもない…

でも、学ぶ点はある。彩と盛り付けにこだわってみるということ。たしかに牡蠣だけだと白黒なので、レモンの黄色やエビや赤ピーマンなどの赤い食材とのコントラストは華やかになる。

あとは、まぁ、あつい夏にキンキンに冷えた日本酒やシャンパンで、キンキンに冷えた生牡蠣をいただくのは、最高にアリなんじゃないかということでこの記事を締めたいと思います。

出典情報:
・Ifremer
Internaute Magazine
・Mulot (Mulot Inc.)
・Rovert Verdier (France Okaeshi)


ver.2016-08-31,2015-12-22,2013-06-12